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ローン 2024.04.24

マイナス金利解除~住宅ローンや住宅価格への影響は?~

2024年3月19日、日銀は金融政策決定会合でマイナス金利政策の解除を決めました。
政策金利を引き上げるのは17年ぶりです。
2013年に始まった異次元の金融緩和と呼ばれる政策は事実上終了し、金融政策は正常化に向けて新たな段階に入ったことになります。
この決定を受け、これからの住宅購入を考える人はどのような対応を取ればよいのでしょうか?
今回はマイナス金利解除による住宅ローンへの今後の影響予測と対応策を考えていきます。

そもそもマイナス金利政策ってなに?

そもそもマイナス金利政策とは何でしょうか。
簡単に説明をすると、「民間の金融機関が中央銀行(日銀)に預けている当座預金の金利をマイナスにすること」です。
2008年に起こったリーマンショックをきっかけに日本でも不景気の波が押し寄せました。
不景気になると多くの民間企業や個人がお金を借りることを控えるため、経済が益々停滞していきます。それぞれの銀行は融資をだぶつかせた資金を日銀に預けていますが、そこに対して2013年4月には金利0%(ゼロ金利)、更に2016年1月には▲0.1%(マイナス金利)をかけることで「日銀に預けて金利を取られるぐらいなら」という半ば強制的に景気を刺激する方針を取ることとなりました。これが異次元の金融緩和と呼ばれるものです。
住宅ローンは数ある金融商品の中でも特に“貸し倒れしにくく、担保性の高い”性質があるため、各金融機関がこぞって低金利キャンペーンを打ち出し、一昔前では考えられなかったような低い金利水準と更に手厚い保険も備わった好待遇の商品となっていきました。
そんなマイナス金利政策が、今回遂に終了し政策金利0.1%となったのです。

マイナス金利政策と住宅ローン金利はどう関係しているの?

マイナス金利政策の終了は住宅ローン金利に影響するのか、これを考えるには全体の仕組みを理解する必要があります。
まず前提を説明しますと私たちが普段広告などで目にする「変動金利0.5%!」のような水準の金利は適用金利と言われるものであり、適用金利は各銀行の設定する基準金利(店頭金利とも呼ばれます)から各個人に優遇キャンペーンを行った上で決定します。この優遇率は審査により個々異なりますが、一度実行時に獲得してしまえば返済期間中に適用終了することはありません。

【適用金利】例

M銀行の基準金利:2.475%-2%優遇=0.475%
そして殆どの金融機関の基準金利は短期プライムレート(以下、短プラ)と呼ばれる指標に連動するように設定されています。
短プラとは各金融機関が優良企業向けの短期貸出(1年未満の期間の貸出)に適用する最優遇金利で、更にこの短プラは日銀の政策金利に連動するとされています。
ただし連動といっても自動的にではなく、各金融機関に指標の決定は委ねられています。
つまり政策金利が上がれば住宅ローンの基準金利が上がっていく“可能性”があり、反対に下がれば下がっていく“可能性”があるということで、既に住宅ローンを組んで毎月返済をしている人にとってみれば、毎月の住居費が上がって生活が苦しくなってしまうのではないかと心配をする声が上がっているのです。

これまでの変動金利はどうだったの?

実はこの短プラに連動する変動型の基準金利、過去2009年1月まで遡ってもその数値はずっと変わっていません。
例えば主要都市銀行の基準金利は2009年1月からずっと2.475%のままなのです。
「え?でも10年前にローンを組んだ上司に相談すると今の金利は低いとびっくりされるけど」と思われるかもしれません。
これは過去、基準金利が変わったのではなく優遇キャンペーンの手厚さが年々増してきたことが背景にあります。
つまり2009年に変動金利でローンを組んだ人もこれまで“返済額が下がった”という経験はしておらず、基準金利はこれ以上下げられないほどの底に着いていたということになります。
主要都市銀行の短プラも、この2009年1月から1.475%のままずっと変わっていません。そしてその間政策金利はどうだったかというと、それまで0.5%程度だった水準から2008年12月に0.1%、更に1つめのトピックの通り2013年4月に0%、更に2016年1月に▲0.1%と変化してきました。
まとめますと、政策金利が0.1~▲0.1%へ変化してきた過去の期間、住宅ローンの基準金利は変化してきませんでした。

これから住宅ローン金利はどうなっていくの?

これから住宅購入を検討する方にとってはこれからの金利をどのように予想していけばよいでしょうか。
様々な意見はありますが、最も多い予想では「徐々には上昇していく可能性はあるが、急激な上昇は考えにくい」とされています。
その理由は日銀の今回の政策決定会合での対外公表文で「現時点の経済・物価見通しを前提にすれば、当面、緩和的な金融環境が継続すると考えている」と、追加の政策金利の引き上げ、急速な政策金利の引き上げを行わない考えを示していることにあります。
断定はできませんが今後も継続的な賃金上昇を伴う物価上昇が認められれば、段階的に且つ緩やかに、金利は上がっていく可能性はあるでしょう。
それでも2022年からアメリカで起きたような急激な金利引き上げは日本では起きないと考える意見が今のところ大多数のようです。

今は住宅購入を待った方がいい?

とはいえ金利の底と考えられた時代からの転換期とも見て取れるこのタイミング、住宅の購入時期としては悪いのでしょうか?
これも様々な意見はありますが私たちの答えはNO、ローン金利の変化と住宅の購入時期はしっかりと分けて考える方が良いです。
具体例として仮に今の状況を理由に購入時期を遅らせ、3年後を見据えたとしましょう。
3年後の金利は今より下がっているでしょうか?
仮に下がっているとして、3年間の家賃出費を考慮しても得をするほど下がっていると予想できますでしょうか。
もちろん専門家でも未来の完璧な予測はできませんが、金利の底である今より更に下がることは考えにくいでしょう。
つまり金利が上昇傾向にあるならば、むしろ少しでも金利が低い期間を享受できる早い時期にローンを始める方が良いということになります。
金利が高くなるということは、それだけ銀行も返済能力に対して厳しく審査をすることになります。
生涯を賃貸暮らしで検討される方は話が別ですが、いつかは購入と考えている方にとってみれば、住宅の購入時期はあくまでもご自身の必要とするタイミングで、更に言うならばなるべく早くにローン返済を始めることをお勧めします。

これからの住宅ローンは固定金利を選ぶべき?

住宅ローンを借り入れる方の74.5%が変動金利を選択しており、その理由は変動金利の水準と固定金利の水準の差にあると言われています。
例えば現在M銀行で変動金利を組む場合の適用金利水準は約0.4%、一方の例で2024年3月におけるフラット35の全期間固定35年金利が1.82%と、その差1.42%となります。
この差を借入額4000万円、期間35年で比べると、月々返済額の差で26,764円、35年間での差は1124万円以上となり、仮に35年間金利が上がらなかった場合は圧倒的に変動金利が有利なことが分かります。
また仮に変動金利が実行時より5年後に1%上昇し1.4%、更にその5年後1%上昇し2.4%となり固定金利1.82%よりも高い水準の期間がその後25年間続いたとシミュレーションしてみますと、それでも35年間の総返済額は約124万円、変動金利で組んでいた方が安いという試算になります。

あくまでも参考ですが上記の試算以上に金利が上昇していくと予測される方、あるいは金利上昇の不安を持ち続けることが精神的なストレスになるという方には固定金利の選択が望ましいといえるでしょう。

まとめ

長くなりましたが、今回のマイナス金利政策解除によってこれから住宅購入を検討される方はどのように対策すべきか、結論としては準備が整っている方であればなるべく早いうちに家を購入しローン返済を始める方が良いと言えます。
ただし返済プランに無理のある資金計画は禁物です。
変動金利を選択する際にはより慎重に、ご自身の生活に無理のない範囲はどこまでかを見極めていただいた方がよいでしょう。
また変動金利か固定金利かどちらを選択すべきか、私たちの見解ではまだまだ変動金利が多くの方にとってメリットとなると考えていますが、答えは人によって異なります。
無理のない資金計画や、変動と固定どちらがご自身にとって向いているかなど、より詳しく知りたい方はぜひFUNHOME不動産の相談会へお越しください。

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